yururi-furu’s blog

ゆるりと続けるフルコミ営業

そして誰もいなくなった(自転車100kmライドって何?⑥)

 

実際は、往復約160kmのコースです。

200kmでもよかったのですが、たまた

ま行きたいところが、160kmだった。

これを聞いた友達は「へ~」って感じ。

特に何も思っていない。

 

怖さを知らないし単純なので、朝7時に

出たら午後3時か4時には帰れるから、

帰ったら海に泳ぎに行こうと思ってた。

 

あまりにバカすぎる。

しかし当時は、遠くに行って帰るだけぐ

らいにしか考えてなかった。

通学用の自転車で、整備もしてないし工

具も持っていない。

財布に小銭、あとは水筒ひとつだけ。

 

当時は車が少なかったので、国道4号線

を横3列で走っていく。

 

目指すのは「むつ市」。青森県の北側、

下北半島にある唯一の市。

当時は、日本でひとつしかない平仮名の

市でした。

野辺地を過ぎるまでは割と平坦なので、

みんなで喋りながらダラダラと走ってい

きました。

そこからアップダウンが続くとテンショ

ンが上がり、競争したりして。

 

11時過ぎに「むつ市」に着き、ちょっ

と公園で休憩して、東通村を抜けて太平

洋側に向かいます。

しかしこの辺りから疲れが出てきた。足

やお尻が痛くなってきて、速度がどんど

ん落ちてくる。

そりゃそうだ。

普段運動もしない人間が、既に80km

以上走っている。しかも通学用の普通の

自転車で。

 

みんな疲れて無口になってくる。

その後は、ただただ辛いだけで、早く帰

りたい家に着きたい。

 

だいたい誰も地図を持っていない。標識

があるから何とかなると思っていた。

 

太平洋側の六ヶ所村から西へ向かう道の

分岐点で午後4時。家までまだ50km

はある。しかも向かい風。

何時に帰れるか分からない。当時はスマ

ホもないし、近くに公衆電話もない。

更に、ゆるやかだけど上り坂が続く山の

中の道。

 

誰かが「来なきゃよかった」と呟く。

たぶんみんな、そう思っている。

 

ずさんな計画でみんなに迷惑をかけてし

まった。

申し訳ない気持ちで、疲れて無口のまま

家についたのは、午後7時30分ごろ。

風呂にも入らずに寝てしまった。

 

 

それからは、自転車で出かける友達は、

誰もいなくなりました。