yururi-furu’s blog

ゆるりと続けるフルコミ営業

9,600万円のボーナス(銀行の不動産情報②/⑫)

 

銀行系不動産会社の営業は、担当する都

市銀行を持っています。

信託銀行は支店が少ないので、不動産課

や窓口、財務相談員さんから出てくる情

報を、営業マンに割り振ります。

 

僕は担当都市銀行の他に、ある信託銀行

の連絡担当もしていました。

ただそのために、毎週月曜日はその信託

銀行に出社します。

銀行員と同じく朝8時出勤。

朝礼が終わった後は、2階の渉外課へ移

動。渉外課にも僕の席があって、そこで

不動産情報の整理。

 

この情報が凄いんです。先に書いたよう

に、JRさんの主要駅の駅前のビル、都心

にある数百坪の土地、商業施設を一括売

却とかの情報がゴロゴロしています。

だいたい月に2回、200物件ぐらいの

紙の情報が、信託銀行の本店から郵送さ

れてくる。

でもその情報は実際には扱えない。

まずはその情報の書き方が僕に、

「触るな危険!」ということを訴えてき

ている。

 

不動産屋さんの表に貼ってある、不動産

図面を思い出してください。

左側3/4に物件の地図や写真。右側1/4

には住所や金額、土地の広さなんかの詳

細情報が記載されています。

信託銀行の不動産情報の書き方も一緒な

んですが、内容が異質です。

左側は住宅明細図の地図だけ。

物件の場所には丸がつけてある、それだ

けです。

また右側には、ほぼ何も書いていない。

価格は「未定」。物件詳細には斜線が引

いてあって「調査中」だけです。

 

詳しいことは何も書いていません。

つまり、詳細を教えるつもりがまったく

ないんです。

下の帯部分には、信託銀行の支店名と電

話番号、そして担当者の名前。

 

これだけの大型物件だと、つい問い合わ

せてみたくなる。

信託銀行の支店長に聞いてみると、

「ま~無理じゃないかな。でも期待しな

いで、一応電話してみたら?」

 

なんか変な雰囲気。

でもどうしても気になった横浜の大型商

業施設があったので、その支店の担当者

に電話しました。

電話に出たその担当者は、

「なんで聞いてくるの。こっちがやって

るんだから邪魔しないで。他に仲介させ

る訳ないだろう」

 

(えっ、そうなの。そういうこと?)

 

信託銀行から送られてくる、宝の山の不

動産案件。それは絵に描いた餅よりも、

役に立たないものでした。

 

 

それから半年後、京浜東北根岸線沿いの

商業施設は、100億円で売却されてい

ました。

「たられば」を考えてしまいますが、も

しも両手で仲介できて満額で手数料を受

け取れれば、仲介手数料は6億円。

僕の冬のボーナスは、9,600万円のは

ずでした。