yururi-furu’s blog

ゆるりと続けるフルコミ営業

慰謝料ではなく財産分与(マンション買うつもりないけど③/⑥(不動産百話⑦))

 

部屋の前に来て、僕がチャイムを鳴らし

てノックもする。

応答が無いのを確認し、奥さんが鍵を恐

る恐る開けた。

ご主人は不在でした。

 

自分と娘の銀行通帳や実印、保険証を持

ってすぐに部屋を出る。よほど怖かった

のか足が震えています。

その後は管理室で、今後どうすればいい

かの相談を受け、ハラスメントの内容を

確認したところ、かなり酷かったため、

女性のB弁護士さんを紹介しました。

その後、僕も奥さんからは報告を受けて

いたんですが、思っていたのとは違い、

訴訟になってしまった。

 

横浜地裁では奥さんが勝訴して離婚が認

められ、慰謝料も希望に近いものになり

ましたが、そのあとYさんが大きな病気を

して会社を退職。慰謝料の支払いが難し

くなってしまいました。

退職金で支払いはできるのですが、働け

なくなったことで、Yさんの老後資金や生

活に支障が出る可能性が高くなった。

 

奥さんとしては、そんなのは関係のない

ことですが、やはり元のご主人だったた

めか気持ちが揺れてしまう。慰謝料請求

をためらってしまった。

 

でも、それが幸いしました。

元のご主人のYさんから、慰謝料の支払い

の代わりにマンションの所有権を渡した

いという申し出があったんです。

もともと夫婦で、各々50%の持ち分を

持っています。中古でも3000万円台

では売れる。

つまりご主人は、数百万円の慰謝料代わ

りに自分の持ち分相当、1500万円プ

ラスの財産を引き渡すことにしました。

 

なぜ慰謝料より高い財産を引き渡すので

しょうか。

それは僕が奥さんに、売却を渋るように

アドバイスしたからです。そうすればご

主人は、現金を出さなければいけなくな

る。ご主人としては、それは避けたい。

だからマンションを売りたい。でも持ち

分の半分は奥さんが持っている。

 

そして奥さんにこう言わせました。

「思い出の詰まったあの部屋で、今度は

娘と二人で暮らしたい」

 

最終的にご主人が折れて、二人のためな

らと、マンションの自分の持ち分を渡し

た。税金がかからないよう財産分与で。

 

 

同じころ、娘と二人で暮らすための部屋

は、奥さんの指示で、売るための準備が

着々と進んでいました。

もちろん僕によって。