yururi-furu’s blog

ゆるりと続けるフルコミ営業

BMWを乗り回す女(選んでしまった履歴書②/②(不動産百話⑧))

 

なんでって聞くと、人差し指を口に当て

て、右手で社長室を指差す。

そう、社長はまだいるんです。

 

ということは、聞こえちゃマズイこと。

 

少ししてからWさんが営業室の僕のとこ

ろへやって来ました。

「履歴書を見て、なにか気付いたことは

なかった?」

 

答えはこうでした。

多分、僕が直感で選んだ人が採用になる

はず。なぜなら社長は、4人の中で誰を

採用してもいいと思っているから。

確かに経理には人が足りないんです。で

ももうじき、メインバンクである北海道

T銀行を定年した人が、出向で経理に勤務

する予定。つまり募集しなくていい。

じゃあなぜ採用するのか。

 

それは、愛人候補だということ。

社長は新しい愛人が欲しくて仕方ない。

 

そのために家族構成を見て、つけ入るス

キがありそうな家庭の人に絞っている。

更に誰かに選ばせて、他人が選んだ人間

というか人の好みを奪うようなしたいと

考えている。一番腹立たしいのは、全員

が地方の高校を卒業したばかり女性だっ

たこと。

 

Wさんも最初同じようにやはり、かなり

強く言い寄られたとのこと。時には力づ

くになりそうなこともあった。

でも何度も何度も断り続けたら、社長は

面倒になったのか次の候補を探し始めた

みたいだとのこと。

Wさんも同じように、地方の高校を卒業

して上京。家庭の事情で実家には帰るこ

とができない。

社長の面接は親切そうな感じで、そのあ

たりを詳しく聞かれたようです。

でもそれは、家庭の事情を確認していた

だけでした。

 

めったに怒らない僕ですが、この時は怒

りでいっぱいになり、その後の新卒採用

トラブルの件もあって、出向を少し早め

に解除してもらうことにつながった。

 

その後もWさんがこの会社を辞めなかっ

たのは、給料です。

こんな社長ですが、女好きなために女性

の給料は手厚くしています。この時代の

高校卒業の事務職は、月給11万円ぐら

いでしたが、この会社は初任給20万円

です。

 

Wさんの言うように、僕が選んだその女

性Tさんが採用になりました。

 

 

3ヶ月後Tさんは、社長のBMWを乗り回

すようになっていました。給料も50万

円にアップ。

席は社長の奥さんの真向かい。

奥さんはすごく勘がいいので、時間の問

題でした。