先生とコーディネーターさんの説明が終
ると、1時間30分が過ぎていました。
続けてその部屋で、妻と二人でこれから
のことを話しました。
他の人がいなくなったからか、張りつめ
た気持ちが切れて、妻は大きな声で泣き
出してしまった。
「お金がかかる。ごめんなさい」
「みんなに迷惑をかけてしまう」
「仕事もできなくなってしまった」
「もうなにも出来なくなってしまった」
誰もそんなことは思っていません。
みんなは、ただただ心配しているだけ。
そして少しでも早く良くなってくれるこ
とを祈っている。
1日も早く家に帰ってこれるように、願
っています。
最後に少しだけ元気になったのは、娘か
らのノートを見たからです。時間がたく
さんあるだろうからと、家にあった使っ
ていない A5のノートを荷物に入れてく
れてました。そこには妻と娘が好きなイ
ラストのシールがいっぱい貼ってある。
そして一番後ろのページには家族全員が
揃ったときの写真。それが2枚入れてあ
りました。
「お母さんは絵が下手だから、こんなチ
ャンスにいっぱい練習してね」と書いた
付箋も貼ってある。
家にあった自分の使っていないノートに
したのは、わざわざ買ったりすると、妻
が気兼ねするのを知っているからです。
「少し元気をもらった~」と言って、ま
た泣いてしまいました。
次の日の朝、いつも通りに妻にメールと
LINEをしても返信がありません。だいた
いはすぐに返信するのに。
思ったとおり、一晩中落ち込んでいたみ
たい。だから午前中までは何もしたくな
かったようです。
午後の2時ぐらいになって、やっと反応
してくれました。
「少し落ち着いてきた」
「嫌だけど、しょうがないよね」
「でもやっぱり嫌だよ」
それから1時間ぐらいして、妻からメー
ルが来ました。
「虫歯があると、抜かないといけないん
だって」
幸いなことに、ちょうど2ヶ月前に歯医
者さんに行って治療が終わっています。
2日後のメール。
「口腔内科行ったら虫歯なかった」
「でも、5本抜くって。へこむ・・・」