「前処置関連毒性」と言うのは、一般的
な言葉にすると合併症です。移植の種類
ややり方によって出やすいものと、年齢
によって出やすいものがあります。
どんな方法によっても出てくる可能性の
高い前処置関連毒性は、次のもの。
・消化器のの副作用
口やのどの痛み、炎症、嘔吐、下痢
・皮膚の副作用
脱毛、皮膚の黒ずみ
・血尿
・赤血球、白血球、血小板の減少
・心臓や肝臓、腎臓などの機能障害
やはり怖い治療です。でも治療して、前
に進むしか道はない。
その他には生着不全という、移植しても
その造血幹細胞が身体に住みつかないと
いう合併症もあります。
また、「GVHD(移植片対宿主病)」とい
う合併症もある。これは、移植したドナ
ーの白血球や、移植した造血幹細胞から
分かれて成熟した白血球が、患者の身体
を攻撃してくる合併症。特に、心臓や肝
臓などの臓器を攻撃してくる怖いもので
す。さらにこれには2種類あって、移植
後 3ヶ月以内に発症する「急性」のもの
があります。
・皮膚の紅斑や丘疹
・吐き気、頭痛、下痢
・黄疸
そして、移植後の 3ヶ月を超えてから発
症する「慢性」のもの。
・皮膚がカサカサになる、固くなる
・目や口が乾く
・黄疸
・息苦しい(気管支が細くなるため)
今はこれらの症状が出にくいようにする
ために「免疫抑制剤」を投与します。
それでも心配は尽きません。だって家族
に起きたできごと、妻がかかった病気だ
からです。10万人にたった 4人しかか
からないと言われても、それが起きた家
族、僕たちには、 1/ 1の出来ごとだか
ら、確率なんかは関係ないんです。
放射線治療は 1時間以内に終わります。
右半身に 20分の照射。左半身も 20分
の照射。準備なんかがあってもそれで終
わります。痛くも熱くもない。ただ、そ
の分逆に不気味な感じがする。何も感じ
ないのに、体の中に残っている造血幹細
胞を、静かに完全に壊しているから。
放射線治療が終わった夜、妻から LINEが
来ました。
「特にいまのところ、何ともないよ」