入院が長くなると、誰だって気持ちが落
ちていきます。これが自分であっても、
きっとそうなったはず。特に気持ちが優
しい妻にその傾向が強く出るのは、あた
り前のことだと思います。
こんなときに僕や家族にできることは、
限られている。いまやれるのは、できる
だけ面会に行くこと。毎週日曜日は面会
に行っていました。そのときは、ほとん
ど長女か次男が一緒です。他には、メー
ルや LINE をできるだけマメに送ること
と、近くの五霊神社にお参りに行くぐら
いしか思いつかない。
そんな中でも、ちょっとだけ増やせたこ
とがありました。
月曜日は仕事が休みのことがあるので、
一人でも面会に行くことにしました。何
か特別なことがあるわけでもないんです
が、妻の顔を見て少しだけ話すでもいい
し、ちっちゃな荷物を届けるだけでも喜
んでくれるし、誰か来ると刺激になる。
戸塚の五霊神社
そして五霊神社へのお参り。今までは週
1~2回だったのを、2~3回に増やし
ました。そしてその度に、 LINE で写真を
送ります。そっと内緒でお参りするのも
方法ですが、いまお参りに行ってきたと
伝えるのも、元気を引き出す元になる。
もう一つは電話。
無菌室は個室のために、携帯電話が使え
ます。でもなんとなく遠慮して、これま
ではほとんど電話していませんでした。
妻に認知障害があるんじゃないかと気に
なり始めたことは、当然病院側も分かっ
ていました。病院側は、脳梗塞の疑いが
あると考えていたようです。
治療のためにたくさんの薬を使い、ほと
んど移動の自由がない無菌室。精神的な
負担が大きくなったり、薬の影響が出る
のは十分に予想できる。
会って話すのがいいんですが、毎日でき
ることではありません。
そこで思いついたのが、電話です。
電話といっても、思いついたときにかけ
ても出れないことが多いので、決まった
時間に、定時連絡みたいに電話すること
にしました。
これだと時間の感覚が少しだけ戻って、
緊張感が出るんです。