yururi-furu’s blog

ゆるりと続けるフルコミ営業

最後の一時退院(本日妻が亡くなりました⑱)

 

このことは、妻と妻の両親には話しませ

んでした。子供たちと妻の兄弟だけに話

した。

でも話したところで何か変わるわけでは

なく、聞いた全員が覚悟しただけです。

コロナ禍で面会ができない。4人部屋な

ので電話できる時間も制限がある。でき

たことは、LINEの数を増やしただけ。

だからといって治療のことには触れられ

ない。子供の生活や仕事のこと、世間話

しみたいなものしか送れないんです。

 

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七夕の日の病院のごはん

 

移植の前で妻が嫌だったのは、散髪と抜

歯。移植の抗がん剤は最初のものより強

いもので、数日続きます。最後の二日間

は凄く強いものになります。更に移植の

前日に全身に放射線を浴び、骨髄の中の

血を造る細胞を完全に壊してしまう。

このために必ず髪の毛が抜ける。妻は肩

の辺りまで髪を伸ばしていました。その

ぐらいあると、髪が抜け始めたときに大

変なので事前に短くしておきます。この

ときは、通常のショートぐらいでした。

ちょっと落ち込んだ感じです。

 

そして抜歯。

僕と妻は、虫歯があったら抜くものだと

思っていました。たまたま妻は、この入

院前に歯医者に行って治療が終わってい

ました。だから安心していた。

でも違いました。

まったく健康な歯を 4本も抜くというこ

と。理由は、歯茎に微量な膿のあるとこ

ろがあったため。歯が健康でも、歯茎に

膿があると、そこから感染症になること

があるので、抜かなければならない。

このことを聞いた時も、抜歯した後も、

妻は凄く落ち込んで、声をかけられない

ぐらいでした。

 

移植の前には、一時退院させてもらえま

す。無菌室に入ると、1ヶ月半以上は出

てこれない。しかも辛い状態が続き、体

調も今までとは比べられないぐらい悪く

なります。だから担当の H先生が一時退

院に反対したにもかかわらず、移植コー

ディネーターの看護師さんが、強く一時

退院を勧めて、担当医を説得してくれま

した。

 

 

たった 2日半の一時退院でしたが、長男

も帰省して、久しぶりに家族 5人が揃っ

た。一緒に食事をし、本当に楽しそうに

していた妻。

でもこれが最後の自宅での生活でした。