yururi-furu’s blog

ゆるりと続けるフルコミ営業

えっ!一人で行くの?(湘南台の首つりの家④/⑪(不動産百話①))

 

取り合えず全員が、なぜか足早に勝手口

から外に出ます。

 

そして誰も何も言わない。

数分の沈黙・・・。

 

そこでK弁護士さんが、

「センバさんはこの物件の担当なんだか

ら、悪いけど雨戸と窓とか開けてきて。

今のままだと足元も見えなくて、危ない

からね」

 

(ちょっと待て。どの口が言ったんだ、

この言葉)と心の中では思ったんです

が、そこは元気に「いいですよ」と答え

る。

 

K弁護士さんは、まったく来る気がない。

 

鍵屋さんに目をやると、

「私は次の仕事があるので、お代をいた

だいて、もう出たいのですが」。

じゃあ、なんでさっきついて来たんだ。

 

20歳代の女性弁護士さんに目を移す

と、「こっちを見ないで」って豹変。

 

いやいや、そこまで言うか?

 

K弁護士さんが、

「ちょうど懐中電灯も手に入ったし、こ

れを使ってよ」と、あの懐中電灯を手渡

してくる。

(これを使うの?だってこれだよ)と思

いながら、そんな素振りを見せずに一人

で、もう一度建物に入って行きます。

 

しょうがないから、この懐中電灯を使っ

て中を照らしながら進みます。

 

小さな声で、

「誰かさん。もう君が親切なのはよく分

かった。でもね、これ以上の親切はいら

ないからね」と言いながら。

 

懐中電灯の光の先に、なにか見てはいけ

ないものが見えたりしないように、ずっ

と祈りながら進みます。

 

そして何も見ることもなく、1階の部屋

の窓と雨戸を全部開けてから、弁護士さ

んを呼びます。

 

K弁護士さんは、

「築25年と古いけど、なかなかしっか

りしたいい家だね。建物は使えそうだか

ら、現況売買になるかな」となぜか建物

を褒めます。

 

その後、2階の窓と雨戸も開けて、残置

物の確認を3人で行います。

現金や貴重品が残っていないかの確認。

そういったものがあった場合は、資産と

して裁判所に届けなければいけないから

です。

 

そういった物はありませんでしたが、お

そらく趣味であった高級そうなカメラが

何台もあり、レンズも10本以上ありま

した。

 

また、家具や家電もそのままですが、お

金に換算するのが大変なため、不動産に

付帯したものとして、買主さんに処分し

てもらうことを条件にして販売すること

にしました。

 

 

すると、タンスの引き出しを確認してい

たK弁護士さんが、手紙を見つけました。