yururi-furu’s blog

ゆるりと続けるフルコミ営業

湘南台の首つりの家(湘南台の首つりの家②/⑪(不動産百話①))

 

そんなにたくさんの事故物件を扱いなが

ら、何事も起こらない。

 

だから心霊現象なんかがあるはずはない

と思っていました。

事件や事故があった場所は、気持ち悪さ

があるため、そう感じやすくなってしま

うと思っていた。

 

ただ、二つの話は、もうかなり前のこと

なのと、現実にそういったことがあって

も、最後になにか呪われたとか、不幸な

出来事が続けて起こったなんてことはな

く、その場だけで「なんなんだよ!」と

いうことで終わっています。

 

怖い話であっても、リアルにはそういっ

たことで二つとも終わっています。

ドラマや怪談話とは、そこが大きく違っ

ている。

特に悲惨な結末が待っている訳ではない

んです。

 

一つは約25年前の話。

もう一つは、約10年前の話です。

 

順番が前後しますが、もっとも嫌だった

約10年前の話から書いていきたいと思

います。

 

 

 

湘南台の首つりの家

 

その売買の話は、懇意にしているK弁護

士さんからの依頼でした。

神奈川県藤沢市湘南台にある、古い一戸

建の話です。

 

本人が自殺して、身内が相続を放棄した

ため、売買代金は国庫に入る。

横浜地方裁判所から、弁護士会経由で順

番にまわってきた案件です。

 

70歳代の男性が、自宅近くで首つり自

殺を行ったとのこと。

 

物件調査と査定依頼。

 

もう僕は独立して、個人事務所で案件を

受けていたので、取り合えず一人で現地

確認に向かいました。

もちろん昼の明るい時間です。

 

ドラマのように、わざわざ暗くなってか

ら行くようなことはしません。

 

個人事務所になってから最初に受託した

事故物件。

そのせいか、今までにない「なにか」の

予感がして、初めて気が進まないという

気持ちになりました。

 

現地に行って目の前の川を見ると、橋の

たもとに花が置いてある。

もしかしてと、ご近所にヒアリングをか

けます。

 

思ったとおり、そこで首を吊っていたと

のこと。

複数の家で確認を取りました。

 

そこで言われたのが、

「早く建物を壊すか、売買してほしい」

ということ。

どうしてもその人を思い出してしまうの

と、空き家があると、それだけで怖い感

じがしてしまうとのこと。

ご近所の方の正直な気持ちです。

 

その後藤沢北警察署の刑事課に行って、

事件のことをヒアリング。

当然、教えてくれません。

 

ただこちらは、家の中で亡くなったの

か、それとも外で亡くなったのかの確認

が取りたい。

なぜなら不動産の評価が変わってくるか

らです。

 

裁判所に出す査定書の価額が変わってし

まいます。

 

担当の刑事さんから

「そんなこと教えられる訳ないだろう」

と強く言われたのですが、30分ほど粘

って、やっと次の言葉をもらいました。

 

 

家の中ではなかったんじゃないかな。