yururi-furu’s blog

ゆるりと続けるフルコミ営業

幸せな時間(本日妻が亡くなりました⑬)

 

1月3日の午後、五霊神社に初詣に行き

ました。厄除けのお守りを授けてもらっ

て、長女と次男と一緒におみくじを引い

た。吉や小吉だった二人と違い僕のだけ

「凶」。久しぶりなのでびっくり。

ちょっと嫌な感じです。

 

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第四十六番 凶

 

大変な病気のなかでも、いくつか幸せを

感じた時がありました。それを先に書き

ます。

 

10月17日の月曜日、僕は一人で妻の

面会に来ていました。病気が治り明日か

ら一般病棟へ移るという日。

でも妻の状態が悪く、看護師さんと相談

した結果、この日はできるだけ長い時間

病院にいることになりました。

 

17時を少し過ぎたころ、妻がうとうと

し始めた。夜はまったく眠れなくなって

いたんですが、僕が面会に来ると安心し

てくれて、落ち着いたり眠そうにしたり

する。

「寝たほうがいいよ」と僕が言うと、妻

は駄々をこねる。そう、この日はもう一

人の妻。子どもに返った妻です。

でもあまりに眠そうだったので、もう一

度「寝たほうがいいよ」と言うと妻は、

「だって寝たら帰っちゃうんでしょ?」

そう言って寝ようとしない。瞼がくっつ

きそうなのに。

妻もさすがに起きているのは無理だと思

ったのか「じゃあ、子守歌を歌って」と

ねだってきます。無菌室前の廊下は誰も

いません。しかしさすがに恥ずかしい。

僕が困った顔をしていると、「だったら

100数えて。そしたら許してあげる」

 

「いいち、にいい、さあん」と数え始め

たら、「だめだよ、だめ。それじゃ早す

ぎて眠れない」

「ああゴメン。最初から行くね。いいい

いち、にいいいい、さあああん・・・」

 

たった 8まで数えたところで妻は眠った

みたいです。内線電話ごしに寝息が聞こ

えてきました。僕のほうを向いたまま子

供のような寝顔をしてる。

もう眠っていましたが、ちゃんと約束通

りにゆっくりと 100まで数えました。

間接的に夕陽が射し込んでくる。そんな

中で妻を見つめていた幸せな時間。

 

 

(明日一般病棟に移ったら、あと 2週間

ぐらいで退院できるから頑張ろう)と心

の中で話しかけました。

僕は知らなかった。妻の命が尽きるまで

あと9日と13時間だということを。