yururi-furu’s blog

ゆるりと続けるフルコミ営業

幸せな時間(10月17日・後編(本日妻が亡くなりました㊶/㊿))

※この記事は、どうしても先に書きたかっ

たため、2023年1月9日に書いたもの

です。それを加筆修正しました。

 

 

2023年8月5日 僕の車で弟と一緒に

「たんばらラベンダーパーク」と「伊香保

温泉」に行ってきました。

妻と行きたかった旅先は、まだ 50ヶ所以

上あります。今はその場所を一つ一つ、妻

の写真が入ったキーホルダーと一緒に出か

けている。今回もそういった場所でした。


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①②たんばらラベンダーパーク  ③④伊香保温泉 

⑤大澤屋さんの水沢うどん ⑥榛名湖

 

電話が分からなくなった妻の声を聞きつけ

た看護師さんが来て、電話器を妻に渡して

くれた。また、精神面をケアする担当医を

呼んで、妻をサポートしてくれました。

 

妻はリハビリの時間になったのですが、そ

の間に僕が帰ってしまうのを心配して、行

くのを嫌がりました。

そこで看護師さんがこう言ってくれました

「今日はご主人の時間が許す限り面会して

いいですよ」

 

妻が

「リハビリから戻るまでいてくれる?」

「待ってるよ」と答える僕

僕は 1時間少し病院の最上階の展望室で、

横浜の景色をぼんやりと眺めて、時間を

潰しました。

 

病室に戻りリハビリの終わった妻と話して

いたところ、17時過ぎに妻がうとうとし

始めた。夜はまったく眠れなくなっていた

んですが、僕が面会に来ると安心して、

眠そうになったりする。

 

「寝たほうがいいよ」と僕が言うと、妻

は駄々をこねる。そう、この時間はもう

一人の妻。子どもに返った妻です。

でもあまりに眠そうだったので、もう一

度「寝たほうがいいよ」と言うと妻は、

「だって寝たら帰っちゃうんでしょ?」

そう言って寝ようとしない。瞼がくっつ

きそうなのに。

妻もさすがに起きているのは無理だと思

ったのか「じゃあ、子守歌を歌って」と

ねだってきます。無菌室前の廊下は誰も

いません。しかしさすがに恥ずかしい。

僕が困った顔をしていると、「だったら

100数えて。そしたら許してあげる」

 

僕は少し小さな声で

「いいち、にいい、さあん」と数え始め

たら、「だめだよ、だめ。それじゃ早す

ぎて眠れない」

「ああゴメン。最初から行くね。いいい

いち、にいいいい、さあああん・・・」

 

たった 8まで数えたところで妻は眠った

みたいです。内線電話ごしに寝息が聞こ

えてきました。僕のほうを向いたまま子

供のような寝顔をしてる。

もう眠っていましたが、ちゃんと約束通

りにゆっくりと 100まで数えました。

間接的に夕陽が射し込んでくる。そんな

中で妻を見つめていた幸せな時間。

 

 

(明日一般病棟に移ったら、あと 2週間

ぐらいで退院できるから頑張ろう)と心

の中で話しかけました。

僕は知らなかった。妻の命が尽きるまで

あと9日と13時間だということを。