秋の終わりと春。
季節は違いますが、同じような青い空。
西の方に切れ長の雲が浮かんでいる。風
のない穏やかな澄みきった空気の中で、
妻はその日を迎えた。そして弟さんもそ
の日を迎えました。
2023年4月1日、妻の弟さんの葬儀
が行われました。ほんの 5ヶ月ほど前に
妻の葬儀をやった場所。自宅近くにある
葬儀の板橋さんの「ほうさい殿」です。
弟さんはまだ現役の会社員で、大きな会
社に勤めていたのと、大学時代の友人、
高校のときの部活動の友達、趣味の野球
仲間たちがたくさん来てくれたために、
弔問の方は 200人近くにもなり、いつ
までも終わらないような感じでした。
お坊さんの前に置かれている白木の位牌
には、長男と奥さん、自分の名前。そし
て好きだった渓流釣りと、一生懸命取り
組んでいた仕事から一文字ずつ取った戒
名が書かれていた。
弟さんが自分で考えた戒名です。
妻の別な人格が出たのは、その日が初め
てでした。僕も最初は驚きましたが、す
ぐに対応できた。なぜなら、そんなこと
があってもおかしくないと思っていたか
らです。
妻は、人に迷惑をかけたくないと強く思
うタイプ。優しくて思いやりがあるから
か、たぶん内側にストレスを溜めてしま
う性格です。入院した最初は、頑張って
頑張って、僕や子供たちにさえ気を遣っ
ていた。僕や長女と次男は、そんなこと
は止めてほしいと思い、それを伝えてい
ました。
病気で入院している人が、気を遣っては
いけない。誰でもそう考えるはずです。
でも妻は、病気になったことを申し訳な
いと思っているようで、気遣いを止めま
せんでした。だからある時にその限界が
来てしまった。甘えられないと気を張っ
ていたのが、僕の前で一気に崩れてしま
い、自分が維持できなくなってしまった
んです。
治らない白血病。それに伴う症状や合併
症。8月初旬から出始めた咳は、点滴で
肺に水がたまったことによるもの。
そしてその水のためか、肺に感染症が出
てしまった。その感染症は頭にも影響を
及ぼし、心臓にも水がたまり始めた。